1日に必要な栄養素がどのくらいなのかご存じでしょうか?
「野菜をたくさん食べたほうが良い」「たまには魚も食べないと」と、なんとなく食事を気にされている方も、自分に必要な栄養素がどれくらいなのか、把握されている方は少ないのではないでしょうか。
ここでは『エネルギー産生栄養素(3大栄養素)』である『炭水化物(糖質+食物繊維)、たんぱく質、脂質』、加えて5大栄養素であるビタミン・無機質で抜粋した『ビタミンC、カルシウム、鉄 』の1日に必要な栄養素を厚生労働省の栄養素表を参考にご紹介いたします。(※ビタミンとミネラルはたくさんの種類がありますが、後はだいたいのものは必要量が微量なのでバランスが摂れた食事をしていれば不足することはほぼありませんので割愛します。)
栄養素には、3大栄養素と5大栄養素というものがあります。
3大栄養素とは 炭水化物、たんぱく質、脂質となります。そしてこの3つにビタミン、ミネラル(カルシウムやカリウムなど)を加えたものが5大栄養素です。
これらをバランスよく摂ると1日に必要な栄養素を摂ることができます。

- 炭水化物・・・ご飯・パン・麺類など主食
- たんぱく質・・・肉・魚・卵・豆腐などの大豆製品
- 脂質・・・植物油、バター、マーガリンといった油類
加えて過剰摂取しがちな、1日に必要な塩分、単体の物質として人の体で最大の構成要素である水の一日の必要量もご覧ください。
では以下に上記の『1日に必要な栄養素』を国によって定められている『食事摂取基準』(厚生労働省)を参考にまとめていきます。
1日に必要な栄養素は年齢や性別、活動レベルによって変わります。
1日に必要な炭水化物
画像引用元:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
炭水化物とは、糖質と食物繊維の総称です。
糖質は消化・吸収されやすく、主にエネルギー源として使われます。
食物繊維は消化されにくく、腸内環境を良くするなどの働きがあります。
健康で豊かな食生活の実現を目的に策定された「食生活指針」(平成12年3月)を具体的に行動に結びつけるものとして、平成17年6月に厚生労働省と農林水産省が決定しました。
引用元:農林水産省ホームページ
1日の総摂取エネルギー(カロリー)は食事バランスガイドの表で見ることができます。

引用:農林水産省 実践食育ナビ
1日に必要な食物繊維

画像引用元:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
食物繊維がエネルギーとして占める割合はごくわずかです。そのため、炭水化物の摂取目標量と糖質の摂取目標量はほぼ同じと考えて問題ありません。
食物繊維が多く含まれる食材の代表として、穀物、芋、豆、野菜、果物、海藻・きのこ類などがあり、それぞれの食物繊維含有量は次の通りです。
こんにゃく 79.9g
乾燥きくらげ 57.4g
乾燥しいたけ 41g
生しいたけ 4.6g
乾燥ひじき 51.8g
乾燥わかめ 35.6g
サツマイモ 2.8g
ごはん 0.3g
玄米ごはん 1.4g
ここで気を付けないといけないことが、きのこや海藻類は乾燥の時点での重量で記載されていることが多いということです。
乾物を水でもどすと量が増えるので、普段食べている乾燥わかめ等の量は多くても1回で5g程度。食物繊維は意外ととれていない方が多い栄養素です。
また、食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があります。
水溶性食物繊維は、食後の血糖値の上昇を緩やかにします。コレステロールやナトリウムを体外に排出する効果もあるので、コレステロール値の低下や高血圧予防にも効果があります。主に海藻や芋類、野菜に多く含まれます。
不溶性食物繊維は水に溶けにくく、水分を吸って膨らんで便の量を増やします。
主に穀類や豆類に多く含まれています。
1日に必要な糖質
・ごはん茶碗1杯(約180g)・・・66.2g
・うどん1玉(約250g)・・・52.0g
・6枚切り食パン1枚(60g)・・・26.6g
・さつまいも100g(小1個)・・・30.3g
・じゃがいも100g(小1個)・・・16.3g
また、糖質はごはんやパン、麺などの他に、芋類やかぼちゃ、果物、豆、アルコール類など、さまざまな食材に含まれています。そのため、主食のごはんやパン、麺類だけで調整すると過剰摂取になってしまいます。
1食につきご飯茶碗1杯を目安に、それを3食食べると約200gの糖質がとれるので、残りの糖質を主菜や副菜で補うようにすると良いでしょう。
1日に必要なたんぱく質
画像引用元:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
たんぱく質は皮膚や髪の毛、臓器など体をつくる原料となるものです。
また、体の調子を整えるホルモンを調節する働きや、エネルギーの源にもなっています。
たんぱく質は肉、魚などの「動物性たんぱく質」とよばれるものと、大豆製品など「植物性たんぱく質」と呼ばれるものに分けられます。
動物性たんぱく質には必須アミノ酸(体内で生成できないアミノ酸)が豊富に含まれており、消化・吸収のスピードが速いので、効率的にエネルギーを産生したり、体組織の再生に利用することができます。(例 お肉・お魚・牛乳・卵等)
植物性たんぱく質には脂肪が少なく、低カロリー高たんぱくな食材として女性やアスリートの方にも好まれますが、一方で必須アミノ酸の含有量は動物性たんぱく質に比べて少ないという特徴があります。(豆腐や納豆)
・鶏むね肉(皮なし)・・・23.3g
・鶏もも肉(皮なし)・・・19.9g
・豚もも肉・・・21.9g
・牛もも肉・・・21.3g
・マグロ赤身・・・26.9g
・鶏卵・・・12.3g
・油揚げ・・・18.6g
1日に必要なたんぱく質量は、男性で65g、女性で50g。
1日に必要な脂質
画像引用元:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
一日の総摂取カロリーのうちの20~30%が望ましいとされています。
過剰摂取になりやすく、摂りすぎは良くないイメージですが、脂質は効率の良いエネルギー源になったり、体の細胞を作る手助けをしたり、ビタミン類の吸収を抑える働きがあり、不足しても良くない栄養素です。
一日の総摂取カロリーのうちの20~30%
常温で固まる『動物性の油脂』(お肉やバターなど)と、
常温でも固まらない『植物や魚に含まれる油』(くるみ・魚・オリーブオイルなど)をバランスよく摂ることも大切だといわれています。
1日に必要なビタミンC

画像引用元:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
ビタミンCは肌に良い、美肌効果のイメージが強いと思いますが、実はそれだけではありません。ビタミンCには、抗酸化作用、免疫強化、自律神経安定、抗がん作用など様々な効果があり、重要な栄養素です。
ビタミンCは、男女ともに1日100㎎とると良いとされています。
・レモン・・・100㎎
・キウイ(黄肉種)・・・140㎎
・ブロッコリー・・・140㎎
・ピーマン・・・76㎎
・さつまいも・・・29㎎
1日に必要なカルシウム

画像引用元:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
カルシウムは骨の材料になるだけでなく、精神安定や筋肉の働きを良くしたり、肌の潤いを保つなどの美容効果もあります。
不足すると骨がもろくなったり、イライラ、シワなどの原因になることもあります。
特に、乳製品や魚、大豆製品に多く含まれる栄養素なので、意識してとるようにしましょう。
・低脂肪牛乳・・・130㎎
・牛乳・・・110㎎
・チェダーチーズ・・・740㎎
・ししゃも・・・330㎎
・油揚げ・・・310㎎
1日に必要な鉄分

画像引用元:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
女性が男性より多く必要なのは生理による鉄の損失があるためです。
鉄分には2種類あり、動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」です。
吸収されやすいヘム鉄に比べて、非ヘム鉄は吸収されにくい特徴がありますが、ビタミンCと一緒に摂取することで、吸収を良くする効果があります。
鉄分は不足しがちな栄養素でもあるので、意識してとるようにしましょう。
豚レバー・・・13g
あさり水煮・・・29.7g
干しひじき・・・58.2g
小松菜・・・2.8g
枝豆・・・2.7g
1日に必要な塩分
画像引用元:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
生活習慣病の一つである高血圧。
特に関連の深い栄養素の一つとして挙げられるナトリウム。
近年日本人は過剰摂取しがちですので日頃の食事で気を付けるべき栄養素です。
1日に必要な水分【厚生労働省】
水の必要量は生活活動レベルが低い集団で 2.3〜2.5 L/日程度、生活活動レベルが高い
集団で 3.3〜3.5 L/日程度と推定されている 3)。しかしながら、その必要量を性・年齢・身体活動レベル別に算定するための根拠は、いまだに十分には整っていない。
日本人を対象としたインターネットによる質問調査では、水道
水の摂取量は 1 人当たり平均 1.28 L/日、潜在的な水道水摂取量は 1 人当たり平均 1.65 L/日、2.0
L/日が 88 パーセンタイルに当たり、ほぼ全員をカバーする摂取量は 2.5 L/日よりも多いだろうと推定しているp画像引用元:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
入浴前後は心筋梗塞や脳梗塞予防のため水分補給を忘れずに。
また寝る前も脱水症状予防に水分補給は大切です。



まとめ
いかがでしたか?
野菜をたくさん食べるように普段から気を付けていたつもりでも、実際に必要な栄養素の量を見ると、意外と足りていなかったり、過剰摂取になっていることが多いです。
この機会に自分の食事を見直し、栄養のある食材を意識して取り入れてみてくださいね。