食中毒は私たちの身近に存在している『菌』や『ウイルス』等が原因で起こります。
100%完全に防ぐことは難しいですが、ある程度意識することで食中毒になる確率はグンと減らすことは可能です。
食中毒を意識するためには、『どんな食材にどんなウイルスや寄生虫が付着している可能性があるのか』を知り、その特性を知ることがとても大切。
ここでは『食中毒になりやすい食べ物を、ランキング形式』でご紹介していきたいと思います。
何かのお役に立てれば幸いです。
食中毒とは何でしょうか?細菌やウイルス・または毒が付いた食品を食べて
軽いものでは腹痛や下痢症状。重いものでは発熱や嘔吐…の症状が出る病気のことです。
最悪の場合は命にかかわることもあります。
食中毒の原因
細菌食中毒・ウイルス性食中毒・動物性自然毒・化学物質・寄生虫などがあり、
症状が出るまでの期間やその症状、予防方法は違います。
下記に農林水産省の食中毒原因グラフを引用させていただきました。
ご覧ください↓

画像引用元:農林水産省
食中毒菌 事件数が多いものランキング

画像引用元:株式会社町田予防衛生研究所ホームページ
食中毒になりやすい食材ランキング
上記に記載した事件数が多いランキングから食中毒になりやすい食材を当てはめてランキング形式にしてみました。
1位 サバ、サンマ、アジ、かつお、イワシ、サケやイカ(原因菌:アニサキス)
アニサキスは寄生虫の一種でサバ、サンマ、アジ、かつお、イワシ、サケやイカなどの魚介類に寄生します。
長さ2センチほど幅1ミリほどの糸のような幼虫が寄生している魚介類が死んで時間が経つと内臓から筋肉に移動するといわれています。また稀に生きているときから内臓の外にいる寄生虫もいるといいます。
予防法としては『新鮮な魚』を選び、『目で見てアニサキスの幼虫を除去』。また魚の内臓は生で提供しないように。
調理をする場合は『-20℃で24時間以上の冷凍』または『70℃以上で1分加熱』することが有効とされています。
※酢や塩漬けでもアニサキスは死にません。
2位 鶏肉 (原因菌:カンピロバクター)
毎年上位に入っている食中毒の一つ。
鶏肉の7割くらいにカンピロバクターという名の細菌が付着していると昔学校で教えてもらいました。しかも鮮度に関係ないそうです。
この菌が生野菜についてしまったものを生食で食べたり、生焼けになった部分をほんの少し食べるだけでも食中毒になる危険性があります。
また余談ですが鶏肉の20%はサルモネラ菌にも汚染されていてそのうち40%は抗生物質がきかない耐性菌を持っているようです。
鶏肉の内部にも菌の生息が認められている鶏もいるんだとか。
鶏肉はは中心部までしっかりと火を通しましょう!
3位 牡蠣 (原因菌:ノロウイルス)

年間の食中毒患者数の約半分はノロウイルスによるもの…という位、常にトップの座を占めている食中毒ウイルス!
嘔吐を繰り返し、熱も出て相当しんどい思いをしたのを覚えています。
それから就職してからも知り合いのお店の行為でサービスしてくれた生ガキがまたまた大当たり!
…というようにノロウイルスによる食中毒は、主に、生で牡蠣などを食べることにより感染したり調理者を通じた食品の二次感染により発生します。
あと加熱調理用の二枚貝や牡蠣は生食しないでください。
また食べるときは中心部85℃以上90秒以上で充分に加熱をするとウイルスの感染性はなくなります。
あと感染力が強く患者からも映るので、一人ひとりが手洗いなどで2次感染の予防をすることが大切です。
4位 野生のキノコ類・植物 (原因:植物性自然毒)
有毒植物や有毒魚類など、食材自体が持つ毒の成分を誤って食べることによる食中毒のことを自然毒といいます。※4位はそのうちの有毒植物の方。
『学校で栽培していたじゃがいもを食べたら集団で食中毒になった。』また『毒キノコを食べた』、『人からニラだともらった葉っぱが実はスイセンの葉っぱだった』また『料亭で出てきたアジサイの葉っぱを食べた』など…たまにニュースでも聞くことありますよね?
では実際どのようなものがあるのかまとめてみました。
キノコ類
キノコの名前 | 症状 | 似ているモノ等 |
カエンタケ | 死に至ることもあり | 似ている食用キノコあり【ベニナギナタタケ】 |
カキシメジ | 摂取量により症状に差がある | チャナメムツタケ |
クサウラベニタケ | 下痢・腹痛など | 似ている食用キノコアリ(ウラベニホテイシメジ・ホンシメジ・ハタケシメジ) |
スギヒラタケ | 急性脳症や死亡した例もあり。 | 昔食用としていたヤキフタケに似ている。 |
ツキヨタケ | 下痢・腹痛 | 似ている食用キノコ(ヒラタケ・シイタケ・ムキタケ) |
ドクササコ | 末端紅痛症 | 似ている食用キノコ(カヤタケ・ナラタケ・ホテイ七五三二・チチタケ・アカハツ) |
ニガクリタケ | 重症の場合は死亡することもある | 似ている食用キノコ(なめこ・クリタケ・ナラタケ・ナラタケモドキ) |
ニセクロハツ | 最悪死に至ることもあり | 間違えやすいキノコ(クロハツ・クロハツモドキ) |
ネズミしめじ | 嘔吐・腹痛。下痢 | 間違えやすい食用キノコ(シモフリしめじ) |
ハイイロシメジ | 嘔吐下痢 | 味が美味しいからと食することもあるが食用にすべきでないといわれている。 |
ヒカゲシビレタケ | 幻覚症状 | 間違えやすい食用キノコ(シロマツタケモドキ・ハラタケ・ツクリタケ) ※麻薬取締法で規制されており使用することも所持することも違法。 |
ヒメアジロガサ | ナラタケ(食用)と群生し、似ている。 |
高等植物

名前 | 有毒成分など | 補足 |
アジサイ | 明らかにされていない | 料理に添えられていた葉っぱを食べて食中毒事件あり |
ジャガイモ | ステロイドアルカロイド配糖体(ソラニン・カロニンなど) | 光に当たって皮が緑色、芽・及び芽の付け根に毒あり。 サイズが小さいものや地中の浅いところにあった芋も注意が必要。ソラニン類は水に溶けやすいので、心配な場合は茹でる料理の方が中毒する確率が減るとのこと。 |
スイセン | アルカロイド(リコリン・タゼチンなど)・シュウ酸カルシウム | 葉はニラによく似ていて誤食する事件あり。また葉の下についている丸い鱗茎は玉ねぎと間違えやすい。 |
アマチャ | シアン化合物(葉) | 濃いめの甘茶を子供に提供し数十人が嘔吐の症状を訴えた中毒事件あり。 |
クワズイモ | シュウ酸カルシウム | 里芋の葉と非常によく似ている。汁や液が皮膚につくとかぶれることもあるので注意が必要。 |
イヌサフラン | アルカロイド | 葉っぱを食用出来るギョウジャニやギボウシの葉と間違って食べる事件あり |
トリカブト類 | アルカロイド(アコニチン・メサコニチンなど) | 食用のニリンソウと間違って誤植する中毒事故が多い。 |
参考:消費者庁『自然毒』ホームページより筆者により作成
5位 カレー等の具材? (原因菌:ウエルシュ菌)

カレーって少し多めに作りますよね?
しばらくそのカレーを使って色々派生できるので楽チンなのですが、
実はこういう粘度の高いものや大量に作った煮物などは調理後常温に置いたままにしておいたり、いろいろなその時の状況でウィルシュ菌という菌が大量に増えて食中毒になることがあるんです。
この菌は10万個以上の菌まで増えないと食中毒を発症しないのと、嘔吐や下痢などの軽い症状だという事なので気づかれないことも度々あるとか。
ただ怖いのがこの菌は100℃で4時間加熱しても菌はしなないという
耐熱タイプの菌だという事。
まずこの菌が発生増殖しないように予防することが大切ですね。
ではまずどうして予防したらいいのでしょう。
このウェルシュ菌の特徴は、空気が嫌いであったかい時間が長いと、
菌の数が一気に増えます。
なのでその逆で、温めるときは木べらなどで空気を入れ込むように丁寧に混ぜながら中心部がボコボコなるくらいまで沸騰させます。
その時、。
その後すぐに氷水などをかまして木べらで時々混ぜてこの菌が繁殖しやすい温度帯を出来るだけ早く通過し20℃くらいまで冷ますというのが大切です。
→もちろん冷えたら冷蔵保管です。
そうすることにより予防できる食中毒です。
6位 魚貝類 (原因:動物性自然毒)
有毒植物や有毒魚類など、食材自体が持つ毒の成分を食べて狩りなどで誤ってつて食べることによる食中毒のことを自然毒といいます。※6位はそのうちの有毒魚類の方。
ではまとめてみましたのでご覧ください↓
魚類

名前 | 毒の部位 | 危険度など |
フグ | フグによって食用可能な部位が異なる | 死亡率が高く危険 |
シガテラ毒魚 | 筋肉・肝臓・消化管・その他の内臓 | 重篤な場合は十数時間から数日で死に至る |
コイ科の魚類 | 胆のう | |
ウナギ | 血清(目や口に入っても炎症などが起こる) | 大量に血液を飲んだ場合死亡することもる |
イシナギ | 肝臓 | ビタミンA過剰摂取 |
アブラボウズ | 肝臓 | 不明 |
バラムツ | 筋肉 | 不明 |
アブラソコムツ | 筋肉 | 不明 |
参考:消費者庁『自然毒』ホームページより筆者により作成
2枚貝

名前 | 毒 | 補足 |
アサリ、牡蠣、ホタテ貝など | 麻痺性貝毒 | 麻痺性貝毒をもつ藻が発生する水域でこれらを餌にする動物は全て毒化する危険性あり。 |
ムラサキイガイ、アサリ、ホタテ貝 | 下痢性貝毒 | 特にムラサキイガイの毒化例が多く毒性値が高い。 |
日本ではムラサキ貝・ホタテガイ | 記憶喪失性貝毒 | 重篤患者で記憶喪失 |
ミドリイガイ・マガキ | 神経性貝毒 | 日本では中毒例なし |
ムラサキイガイ・アサリ・ホタテ貝・マガキ | アザスピロ酸 | ムラサキイガイによる食中毒が多い。日本では中毒例なし。 |
巻貝

名前 | 毒の部位 | 症状 |
エゾボラ属の巻貝 | 唾液腺 | 死亡することはない |
キンシバイ類などの肉食性巻貝 | ||
アワビ類 | 中腸線 | 死亡することはない |
参考:消費者庁『自然毒』ホームページより筆者により作成
みなさん良く知っているアサリ・ホタテ。牡蠣などの2枚貝はエサのプランクトンが原因で毒をもつことがあります。
毒化した貝は出荷が規制されて市販されることはありません。
潮干狩りや海水浴などで自家用に採ったものは注意が必要です!!
貝の毒は熱に強いため加熱しても無毒になりません。
また例年3月後半から4月ころ貝毒が検出されていることも念頭に入れておきましょう。
7位 卵 (原因菌:サルモネラ菌)
サルモネラ菌といえば、卵(自家製マヨネーズ、ティラミス、オムレツなどの加工品含みます)、あと食肉製品、乳製品なども汚染される例があります。
サルモネラ菌による食中毒は菌数が1000万個以上無いと発症しないとされていて、しっかりと10℃以下で冷蔵保存していれば、賞味期限内に生食しても食中毒を起こすことはほとんどないといわれています。
ですが菌が最もよく繁殖する温度帯である35℃前後で保管していると、1日で食中毒が起きるレベルまで増殖するといわれています。
放し飼いや自然卵と称する養鶏場の宅配、道の駅や個人農家直売などなどの生産卵については、生産者と消費者との相互信頼に基づくので殻などの菌の汚染に気をつけなければいけませんが、
スーパーでプラスチックや紙のパックケースに入っているものは消毒・殺菌されているということです。
出来れば卵は菌が完全に死滅するように
しっかり火を通して早めに食べる事が大切です。
私達も同様に、生卵は100%安全ではないということを認識して、特に夏場などはなるべく避けたり、温度管理に気をつけて賞味期限内にかかわらず早めに食べる事が食の安全、安心につながります。
8位 様々な食品※握り飯・寿司・肉・卵・乳などの調理加工品 (原因菌:ブドウ球菌)
黄色ブドウ球菌は自然界にも広く存在し、健康な人の皮膚や喉にも存在する菌です。
特に手指に傷があったり湿疹・手荒れなどがあると通常より多く付着している可能性があり注意が必要です。手洗い・アルコール消毒・使い捨て手袋を活用するようにしましょう。
また黄色ブドウ球菌は10℃以下では増殖できません。食材は出来るだけ10℃以下で管理するようにしましょう。
この菌のやっかいなところは熱や乾燥にも強く加熱しても食中毒を防ぐことができない点です。また食塩の濃度が高くても増殖するのでお漬物などでも注意が必要です。
特に6月から10月ごろに発生件数が多く、7・8月はかなり多い件数です。
9位 様々な食品※牛肉及びその加工品 サラダなど (原因菌:腸管出血性大腸菌)

O157と呼ばれる最近は国内では井戸水、牛肉、ハンバーグ、ローストビーフ サラダ、カイワレ大根、白菜漬けと様々な食品から見つかっています。
家畜(牛羊、ぶた など)の台帳を住みかとして家畜糞便から水や食物を介して感染したり感染した人から人へ感染します。
熱には弱く75℃1分でやっつけることができるのですが、とても強い感染力から感染源は様々な食品や動物のふれあいまで様々な場面で報告されているようです。
ほとんどの場合 O157 の症状は激しい腹痛を伴った水っぽい下痢が頻回に起こり、間もなく血便が出ます。
成人では感染しても無症状だったり軽い下痢で終わることが少なくありません。
しかしその場合でも2週間ほど便には菌が混じって排泄されていますので家族に感染を広げないよう十分な注意が必要です。
特に小さなお子様や高齢者は治療が難しい非常に危険な溶結性尿毒症症候群(貧血、血小板減少、急性腎障害)や脳症(痙攣や意識障害)を起こす可能性があるので気を付けなければいけません。
まとめ
いかがでしたか?
私たちが身近に食べる食品がいくつも紹介されていましたよね。
菌は熱にもつおいものがあり改めて食中毒の予防の大切さが分かりました。
お肉やお魚、卵だけにかかわらず、自然毒で似たような食材があるという事や2次感染により起こる食中毒があることも勉強しました。
知らないと知っているとでは行動に大きな差があります。
是非ここで学んだことを頭の隅に置いて、安全で美味しく『食』を楽しみましょう!